私は世界遺産検定2級の勉強をしてみて(97点で合格!)、さまざまな国の世界遺産を学ぶことが楽しくなり、1級を目指して勉強をはじめました。
ですが、1級は2級よりも出題範囲が広く、覚えることがたくさんありすぎて、勉強するのに苦戦しました…。
それでも無事に合格して、送られてきた認定証がこちらです↓
この認定証を1人でも多くの人がもらえるように、私が合格するまでにおこなった勉強方法を徹底的にお伝えします!
世界遺産検定1級の資格概要
イエローストーン国立公園@アメリカ
世界遺産検定1級の試験の概要についてまとめておきます。
試験日 | 7月、12月の年2回 詳細の日程は世界遺産検定公式HPでご確認ください |
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試験時間 | 90分 |
出題内容 | 世界遺産の基礎知識 日本の遺産 世界の自然遺産 世界の文化遺産 その他 ※試験を受ける日までに登録されている全世界遺産が対象 |
回答方式 | マークシート |
問題数 | 90問 |
受験資格 | 世界遺産検定2級合格者 |
受験料 | 9,700円 |
現在はコロナの関係もあるのか、2級〜4級はCBT試験での受験が可能ですが、1級とマイスターに関してはCBT試験の対応はしていないようです。
CBT試験とは?
コンピュータを使って世界遺産検定(2級~4級)を受検するシステム。
試験期間中であれば、好きな日時に自宅の近くや職場の近くにあるテストセンターで試験を受けることができます。
その他の詳細については「世界遺産検定」公式ホームページをご確認ください。
世界遺産検定1級の難易度
シェーンブルン宮殿(グロリエッテ)@オーストリア
世界遺産検定1級の合格基準は、
200点満点中 140点以上の取得
70%正解できれば合格することができます。資格試験の合格基準としては普通のラインだとは思います。
過去の世界遺産検定1級の合格率は下記のとおりです。(世界遺産検定公式問題集 1級・2級 2019年度版より)
●2018年7月実施分
平均点:110.2点 | 合格点:135点 | 合格率:20.3% |
●2018年12月分実施分
平均点:109.3点 | 合格点:133点 | 合格率:20.3% |
(満点は200点)
70%以上正解している受験者が20%に満たない場合は、得点調整が入り合格の基準の点数が下げられます。
この数字を見てわかる通り、受験者の半分は、問題数のほぼ半分しか正解できないのです。
つまり、70%以上正解できる受験者が20%に満たない、難易度が高い試験なのです。ですので、少しでも多くの問題を正解することが重要になってきます。
私もこの数字を見た時に、「これは本気で勉強しないと合格できないな」と思いました。そして、本気で勉強しました。
合格するまでの勉強時間
私が合格するまでに勉強にかけた時間は、
- 期間:4ヶ月間
- 1日の勉強時間:2~3時間以上
です。
専業主婦ですが、同時期に「ワインエキスパート」という資格を受けるため、こちらの勉強もしなくてはならず、世界遺産1級の資格のために勉強できる時間は、1日3時間が限界でした。
知ってのとおり世界遺産は、すでに1,000件を超えています。
公式テキストは想像よりも分厚く、上下巻と分かれているのですが、合わせると厚さが5㎝にもなります。これだけの量を覚えるのは至難の業です。
2級の勉強範囲であった、300件とは比べものにはなりません。
そんな膨大な量の遺産の特徴を覚えないといけないなんて、無理に等しいですよね…。ですが、ポイントを絞って覚えるようにすれば大丈夫です。
教材について
まずは、教材について。教材は「NPO法人 世界遺産検定アカデミー」が発行している「公式テキスト」と「公式過去問題集」の2つのみです。1級用のテキストは上下巻に分かれているため、2冊あります。
公式問題集は2級の問題集と一緒になっているため、すでに持っている方が多いと思います。私は2級の試験のために、公式問題集を1冊購入しましたが、1級対策は1冊では足りないと感じ、直近3年分の問題集を揃えました。
資格試験には公式テキスト以外に、公式テキストをわかりやすくまとめなおした参考書や過去問をたくさん掲載している問題集が販売されていますが、「世界遺産検定」にはそういった書籍は販売されていません。
そのため、世界遺産検定1級受験のために必要な書籍は、「公式テキスト」と「公式過去問題集」しか選択肢がありません。Amazonや、楽天市場、Yahooショッピングで購入できます。(テキストは第2版が最新です)
(2024/12/03 21:41:03時点 Amazon調べ-詳細)
問題集は、問題傾向が把握できたり、問題数をこなしたほうが自信がつくため、3年分は購入した方が良いかと思います。(1冊に試験2回分しか掲載されていません)
合格までの勉強方法
勉強方法に関しては、様々な方が世界遺産検定1級の合格ブログに、「一番大事なのはテキストをひたすら読むこと」と記載していますが、私もそれは間違っていないと思います。
ただ、それだけでは思うように頭に入ってこない上に、飽きてしまうため、私は少し工夫をしました。私がおこなった勉強法をご紹介します。
まずは「世界史」を総ざらい
世界遺産検定2級を受験するときは、「世界史」が頭に入っていなくても充分に合格できますが、1級になると「世界史」が頭に入っていた方が、様々な遺産の特徴を覚える上でかなり有利になってきます。
現役の高校生であれば、世界史を勉強しているので、世界遺産検定1級のために勉強する必要は無いかと思いますが、私のように大学卒業後、何年も経っていて「世界史のことなんて、すっかり忘れてしまった」という方は軽くでも世界史を復習しておくことがおすすめです。
細かく全世界の歴史を追う必要はありませんが、大まかな歴史の流れを把握しておくことで、
「この時代に、この国で、こんな遺産がつくられた」
ということが、歴史に結び付けて覚えやすくなるのです。
世界史復習用のおすすめ本
私は成美堂出版から発行されている「一冊でわかる イラストでわかる 図解世界史」を購入しました。
イラストが多く、また世界全体の年表が掲載されていたり、「どの時代に、どの国で、どんな出来事があった」ということがわかりやすくまとまっています。
発行が2006年発行と少し古かったですが、世界史の復習には充分でした。ブックオフやメルカリなんかで購入できるとよいかもです。
2020年に新版が出たので、購入するならこちらがおすすめ↓
世界史の復習をYouTubuで
この動画を見つけた時は感動したのですが、YouTubuでオリエンタルラジオの中田敦彦さんが、「世界史のエクストリーム授業」の動画を配信しています。
「エクストリーム授業」とは、細かい話はすっ飛ばして、わかりやすく説明する授業らしいのですが、その通りにとてもわかりやすいです。世界史が苦手な方でも、楽しく、手軽に学ぶことができます。(世界史苦手な方が、世界遺産検定を受験しないかな…)
公式ホームページの動画の閲覧
下記の世界遺産検定公式ホームページの下の方に掲載されている、「学習アシスト」の動画を閲覧しました。
私は2級受験の際にも、2級用の動画を閲覧しましたが、研究員の宮沢さんが1級受験に向けたアドバイスをしてくれます。
出題されやすい問題なども教えてくれるので、テキストを読むのに疲れたら、こちらからぜひ見てみてください。(リンク先のページの下の方に掲載されています)
ちなみに、TBSで毎週日曜日18:00から放送される「世界遺産」も、勉強がてら毎週見ていました。やはり目で見ると覚えがよくなります。
テキストを読み込み、分解する
勉強の核となる部分は、やはり「テキスト」を読み込むことです。私は3回は読み込みました。(問題集をやりながら見たりするのはカウントしていません)
1級のテキストは、2級のテキスト同様に覚えるべき部分が赤太文字や黒太文字になっています。
赤黒太文字を覚えるのは必須です。2級の試験では、日本の遺産以外には太文字以外は覚えなくても合格できますが、1級では1点でも多く点数を取るために、太文字以外もできるだけ頭に入れておく必要があります。
注釈がある場合は、ページの下の方に記載されている「※」の文章でさえ出題されることもあるのです。
太文字ではない部分から出題される問題は、「なんとなく読んだことあるかな」という感じでも回答できるような出題方法なことが多いため、少しでも多くテキストを読んでおくことが重要です。
しかし、読んでるだけでは、集中力がすぐになくなってしまったり疲れてしまい、太字部分ですら覚えるのが困難です。そんな中で、私が工夫した点は次の2点です。
イメージがつかないものはテキストに絵を書き込む
例えば、自然遺産には名前も聞いたことのない生き物が、赤太字で記載されていたりします。イメージできないものは覚えられないので、私はこの写真のようにテキストに絵を描きこんで、印象付けるようにしていました。(絵心が無くても、自分がイメージできるようなることが大切です)
テキスト分解!よく出てくるワードをピックアップしてまとめる
テキストを読んでいると、似たようなカテゴリーのワードが、何個も赤太字や黒太字になっています。
例えば「建築様式」は、様々な国の遺産で太文字になっています。ルネサンス様式やゴシック様式などメジャーな様式以外にも、
- パローツ様式
- マヌエル様式
- マニエリスム様式…
というように、たくさんの建築様式が太文字で出てきます。
それらを拾ってノートにまとめておくのです。カテゴリーで分けておくと、後々、問題集をやるようになったときに便利なのです。
試験問題は、選択肢が①~④までありますが、答え合わせをする中で、正解以外の回答がどこの遺産のものであるか?を探すのがとても大変なのです。
ノートにまとめておくと、ワードからその遺産にすぐに結びつけることができます。
「建築家」も太字になっていることが多く、1試験に1問は「建築家」を問う問題が出ているので、まとめておきましょう。
私がまとめたテキストの太字や重要な単語を分解し、似たカテゴリーのワードでまとめたポイント集を別の記事にまとめています。過去問を分析した出題傾向なども記載しています。※残念ながら第1版の公式テキストを使用しています。現在は第2版が出ているので多少違うかも…
①【建築様式・人物・人種・民族・首都・宗教編】
②【自然遺産・基礎知識・時事問題・各国の歴史と世界遺産編】
優先順位をつける
基礎知識 | 日本の遺産 | 世界の遺産 | その他 |
25% | 20% | 45% | 10% |
上記は世界遺産検定公式HPに掲載されている、1級の試験の出題される問題の比率です。2級の問題比率とほぼ一緒ですが、「基礎知識」と「日本」の遺産で「45%」を占めています。
できるだけ、まんべんなく勉強をすることが合格へと近づくことに間違いありませんが、まず最初に勉強をする部分や、力を入れる部分、最後に勉強しておくべき部分は、「基礎知識」と「日本の遺産」です。
「基礎知識」と「日本の遺産」は、太文字でない部分からもたくさんの問題が出題されます。
流し読みはせずに、すべてのページをしっかり目に焼き付けるように読んでおきましょう。
試験前にチェックしたいこと
火事になる前のノートルダム大聖堂@フランス
勉強法の一つにはなりますが、試験前にチェックしておきたいものをあげておきます。
ツイッター・フェイスブック・インスタ
ツイッター・フェイスブック・インスタグラムにそれぞれ、世界遺産検定公式のアカウントがあります。フォローしておきましょう。特に重要なのはツイッターです。ツイッターの情報更新が一番多く、試験問題に関連する内容をまれにつぶやいています。
私は、前回の試験から今回の私が受験する試験までの間に、世界遺産検定公式アカウントがツイッターでつぶやいた内容をすべてチェックしました。
そして、その中に「今年はレオナルド・ダヴィンチ没後500年です」というつぶやきを発見しました。
1級の過去問題を解いていると、「今年は〇〇があって何年目ですが」という問題が出題されていたため、「これは出題されるな」と思い、テキストで「レオナルド・ダヴィンチ」が出てくる遺産をチェックして試験に臨んだところ、見事試験に出題されたので無事に正解することができました。
世界遺産検定公式HPの今月の遺産と研究員ブログ
世界遺産検定公式HPに「今月の遺産」というページがありますが、
「〇〇回検定のメインビジュアルです」
と記載されている遺産があります。受験する回のメインビジュアルの遺産から出題される傾向があるので、見ておくことをおすすめします。(私が受験した回は、メインビジュアルの遺産からの出題はありませんでしたが…)
世界遺産アカデミー研究員の宮澤さんが執筆している「研究員ブログ」も、ニュースになっているような世界遺産の話題を取り上げているので、出題されやすい傾向があります。
テキストに記載のない新登録された遺産
試験のタイミングによっては、テキストに掲載されていない遺産もあります。(テキスト発行後に登録された遺産など)
下記の公式ホームページの、1級のテキスト案内ページに、新規登録された日本の遺産の説明文と新規登録された世界の遺産の一覧が記載されたPDFが、年度ごとに掲載されているのでチェックしておきましょう。
過去問題を分析すると、日本の遺産は新しく登録されたものも、深いところまで出題されます。世界の遺産は「遺産名」を問われる程度なので、「遺産名」はチェックしておくのが安心です。
調べておきたい時事問題
エルミタージュ美術館(サンクト・ペテルブルクの歴史地区)@ロシア
公式テキストには記載していない内容ですが、試験では「時事問題」が10%ほど出題されます。
世界遺産検定公式HPのアシスト動画で、宮沢研究員が「世界遺産に関するニュース」も日々チェックすることが大事だと言っています。
過去問題をみてみると、世界遺産委員会に関することなど、かなり深いところまで出題されることもあるので、過去問題を分析しチェックしておいた方が良い項目をまとめました。
- 試験年に推薦される(た)日本の遺産
⇨世界遺産条約関係省庁連絡会議で決定した遺産 - 試験年の世界遺産委員会の議長国・委員国
⇨Wikipediaにも掲載されている
「第〇会世界遺産委員会」で検索
- 試験年の世界遺産委員会のビューロー会議の議長名
※世界遺産委員会の議長と一緒 - 試験年のユネスコ事務局長名
- 試験年直近の世界遺産委員会の特徴のある決議内容
⇨ICOMOSが「不登録」の判断後の逆転登録など
新しく危機遺産になった
危機遺産から脱出した
出題されないかもしれませんが、押さえておくと安心できる項目です。
まとめ
富士山@日本
私が合格までにおこなった勉強法をまとめました。
特にテキストに出てくる文字を分解して、まとめなおしたポイント集に関しては、カテゴライズすることによって、ごちゃごちゃになりがちな世界遺産を整理できるので、1度目を通してもらえるとよいかなと思います。
世界遺産検定は、自宅で勉強しながら「世界のたくさんの絶景」や「不思議な景観」を知ることができて、「卓上旅行」として楽しく勉強できました。
次は「マイスター」も受験してみたいと思っています。
「世界遺産検定1級」の取得を目指している方にとって、これからの勉強の参考になれば幸いです。
※「世界遺産検定2級」の合格のための勉強方法については、こちらの記事にまとめています。