私は毎日のようにワインを飲むタイプではありませんでした。むしろ、1ヶ月に1回飲むか飲まないかくらいで、「ワインがわかるようになったらかっこいいなぁ」という理由で受験を決めました。
ワインに詳しかったわけでも、ワインをたくさん飲んでいるわけでもなかったのですが、それでも1次試験の3か月前から勉強をはじめ、ストレート合格できたのです。
出題範囲も幅広く、苦戦しやすい資格ではありますが、ポイントをおさえて効率的に勉強すれば、問題なく合格できる資格でもあるので、ストレート合格した私が、資格の概要や購入した参考書や勉強方法についてお伝えします!
ワインエキスパートの資格概要
ワインエキスパートの資格は、社団法人日本ソムリエ協会が認定する、ワインに関する資格です。
ワインの資格としては「ソムリエ」が有名ですが、このソムリエの資格を認定しているのが、「日本ソムリエ協会」で、ワインエキスパート資格も認定しています。
ソムリエの資格は、ワインに携わる業務を3年以上経験していないと受験することができませんが、この業務経験を必要としない資格が「ワインエキスパート」です。
ワインエキスパート試験の概要は下記のとおり。
受験日 | 1次試験:7月末~8月末 2次試験:10月中旬 |
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受験方法 | CBT方式 |
受験会場 | 【1次試験】 全国47都道府県のソムリエ協会によって指定された会場で受験可能 県にもよりますが、一つの県で何か所か受験会場があります 【2次試験】 札幌・盛岡・仙台・東京・長野・金沢・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・高松・福岡・鹿児島・沖縄 ※会場の詳細は、2次試験の受験票に記載されています。(私の受験した名古屋は金山駅にあるANAクラウンプラザホテルでした) |
費用 | 【一般】 1回受験⇨29,600円 2回受験⇨34,440円 【会員】 1回受験⇨20,380円 2回受験⇨25,220円 |
受験資格 | なし ※飲酒をともなうため、20歳以上の成人が対象 |
ワインエキスパート試験は、
- 1次試験
- 2次試験
があり、両方を合格すると無事に「ワインエキスパート」として日本ソムリエ協会に認定されます。
1次試験は、ワインの知識に関する問題を試験会場のパソコン上で受験します。
1次試験に合格すると、2次試験の受験資格を得ることができ、テイスティングの試験を受けることとなります。
1次試験は2018年度からペーパー試験ではなく、パソコン上で回答するCBT方式に変更になりました。そのためソムリエ協会の指定する期間に、試験会場を自分で予約して受験するため、試験日に幅があります。
2次試験は全員が同じ日に受験するため、受験日はソムリエ協会が指定する1日だけです。
ソムリエは3次試験までありますが、ワインエキスパートは2次試験までです。
試験は1年に1度です。受験の申し込みは毎年3月頃から開始するため、2021年度の受験を検討されている方は、3月には申し込み手続きをすることをおすすめします。(理由は後ほど説明します)
1次試験は、2回まで受験が可能です。
自信がある方は費用の安い1回受験でよいかと思いますが、不安な方は2回受験を選択された方がよいでしょう。
私は2回受験を選択しましたが、1回目で合格できました。その場合は、2回目の受験は不要になりますが、受験費用の返金はありません。
また、ソムリエ協会の会員になると受験費用がかなり安くなります。
ただ、ソムリエ協会の会員になるには、入会金10,000円と年会費毎年15,000円の支払いが必要になります。(詳細はソムリエ協会公式ホームページへ)
ソムリエ協会の会員の特典としては、全国で開催される協会のセミナーに無料で参加できたり、ソムリエコンクールに参加できたりしますが、そこに魅力を感じないのであれば、一般受験を選択する方が費用は抑えられます。
2021年度のワインエキスパート受験日程
- 受付期間:2021年3月1日(月)10時 ~ 7月15日(木)18時まで
- 1次試験日:2021年7月20日(火)〜8月31日(火)
- 2次試験日:2021年10月18日(月)
その他、詳細については日本ソムリエ協会の公式ホームページをご覧ください
1次試験対策
1次試験の試験範囲は、ワインエキスパートの資格試験を申し込みすると「ソムリエ協会」から送付されてくる「ソムリエ教本」から出題されます。
下の写真がソムリエ教本です。
これが、いわゆる「教本」と呼ばれるもので、ソムリエとワインエキスパートともに、1次試験はこの教本から出題されます。ソムリエ試験と勉強する範囲は一緒なのです。
ただ、出題傾向はソムリエとワインエキスパートでは違いがあります。
この教本は毎年内容が変わります。ワイン生産量の多い国のランキングや、覚えるべき数字は年ごとに変わりますし、勉強する範囲が増えたり、減ったりもします。
そのため、受験年以外の教本で勉強するのはNGです。試験の申し込みが始まる3月には早々に申し込みをして、少しでも早く教本を手にすることが大切です。
そうは言っても、私は同時期に世界遺産検定1級を受験する予定だった(こちらも無事に合格しました)ため、分厚くて大きな教本をすべて読んで勉強することは無理だと判断しました。
この写真が教本のとある1ページなのですが、
びっしりと文字が記載されていて、表が多用されているわけでもなく、読みやすいような工夫がまったくされていないのです…。(しかも電話帳並みに分厚い…)
1次対策おすすめテキスト
そこで、教本の内容をまとめたテキストを購入しました。杉山明日香さん著作の「ソムリエ試験対策講座」です。教本の内容を厳選し、出題率が低い部分はカットされていて、効率的に勉強することが可能です。
もちろん、教本を全て覚えるくらいの勢いで勉強をしたい方は、教本だけで勉強するのも良いかと思いますが、効率を求めるのであれば、上記のテキストはかなりおすすめです。
大事な部分は赤字になっており、教本では文字の羅列で表現されている部分が、わかりやすくまとまった表にされていたりもするので、教本を読み解く負担が減ります。
ワイン産地の地図帳もついていて、視覚的にも覚えやすい工夫がされています。
3月にソムリエ教本が発行されてから、このテキストが発売されるため、毎年4月頃に発売されます。2020年度は3月下旬に発売されていました。Amazonや、楽天市場Yahooショッピングで購入できます。
2021年度分はまだ販売していないようなので、2020年度分のリンクを貼っておきます。
私は結局、教本はほとんど見ずに、この参考書だけで1次試験を突破することができました。
教本の内容を大きくカットしている部分もあるので、知識としては足りない部分も出てきてしまいますが、試験には6割~7割程度の正解で合格できるため、合格を目的にするのであれば、まったく問題ありません。
1次対策おすすめ問題集
テキストをひと通り勉強したら、すぐに問題集に取りかかりたいです。さまざまなブログで言われていますが、試験までにできるだけ問題数をこなしておくことが合格への近道です。
私はまず最初に、杉山明日香さんが発行しているテキスト「ソムリエ試験対策講座」のシリーズである問題集を購入して、5回ほど解きました。
しかし、この問題集は500問しか掲載されていません。
ワインエキスパートの1次試験は、120問出題されます。
出題される問題は、何万問もある問題の中からコンピューターがはじき出すため、受験者それぞれ違います。
500問の問題集をこなすだけでは足りません。
新たに問題集を買うのもよかったのですが、私はもっと効率的に問題数をこなしたいと思い、下記のサイトを活用しました。
1次試験対策おすすめ勉強サイト
私が利用したサイトは「ワイン受験.com」です。
東京にあるワインスクールの講師である山崎和夫さんがまとめているサイトで、ワインエキスパートとソムリエ受験のための勉強方法や、試験のポイントなどが詳しくまとめられています。
このサイトでは、ネット上で問題集を回答することができるのです。
Googleで「ワインエキスパート 勉強方法」と検索すると上位に表示されるため、すでにこのサイトを見つけている方も多いと思います。
このサイトにある「問題集」は、山崎和夫さんが出題傾向を綿密に分析してつくられていて、過去問の寄せ集めだけではなく、約10万問の問題からCBT試験と同様に毎回違う問題が表示されます。
それぞれの問題で考えられる全ての類問も用意されていて、不正解の選択肢の組み合わせもシャッフルされます。
この問題集を繰り返し回答することによって、着実に実力を身につけられます。
1年間の利用料金が4,800円ですが、問題集を何冊も買うのであれば、「ワイン受験.com」の「模擬試験」を何度もこなす方が効率的で費用対効果も高いです。
私は1次試験までに、このサイト上で受験できる「模擬試験」を10回ほど解いて試験に臨みました。
そして、無事に1回目で合格することができました。
1次試験当日の様子
私は受験当日がどのように進むのかがわからず、少し不安を感じていたので、同じような思いを持っている方のために当日の様子もお伝えします。
私は、名古屋の「エアリアルビュー名駅テストセンター」で受験をしました。受験票の送付はないので、当日の持ち物は「本人確認証」のみでOKです。
受験開始時間の30分ほど前に会場に到着しましたが、受付に人が一人いて、本人確認証を渡すと、受験の注意事項が記載してある用紙と受験用のIDやパスワードが記載されている用紙を手渡されます。
受付の人に、「開始時間を待たずに、すぐに受験できますがどうされますか?」と確認されましたが、私は少しでも勉強したかったので、開始時間まで受付スペースで待つことにしました。
会場によって違いはあるかもしれませんが、早めに会場に到着すると早めに受験することが可能です。
また、試験会場ではワインエキスパートの受験者だけでなく、他の資格の受験者もいるようでした。
試験開始の5分ほど前に、受付の人から試験を受ける部屋に案内されます。その際、手荷物は全てコインロッカーに預けることになります。
筆記用具は試験会場内にあるため、何も持たずに会場に入ります。会場内は、パソコンが何台も並んでいて、自由に空いている席に座れました。
着席した後は、受付でもらった用紙に記載のあるIDとパスワードをパソコン画面に入力すると、試験が開始されるという流れです。
全問題の回答を終えて、「終了する」をクリックすると、すぐにその場で「合否」が画面に映し出されます。
結果が映し出された画面上に「印刷する」というアイコンが出るので、これをクリックして部屋の外に出ます。
部屋を出ると合否が記載された紙を受け取って受験は終了です。
コインロッカーの荷物を出して、そのまま帰宅できます。
2次試験対策
1次試験に合格すると、すぐさま2次試験の勉強です。
2次試験の勉強は、「1次試験の勉強と同時進行するのがよい」といわれていますが、私は1次試験に合格してから勉強を始めました。
1次試験は7月末に受験したので、8月から約2か月間ありましたが、充分間に合いました。
2次試験の詳細と勉強方法、ポイントについては下記の記事まとめています。
私は普段からワインを飲んでいるわけではなく、ワイン仲間もおらず、自宅で1本ずつ飲むくらいしかできなかったため、2次試験対策としてワインスクールに通うことにしました。
数種類のワインを一度に飲むことができ、試験のポイントも教えてもらえるため、ワイン仲間がいない方などにはおすすめです。
ワインスクールで学んだ試験に関するポイントや、飲み比べたワイン、2次試験用のおすすめ参考書なども合わせて、上記の記事にまとめています。
ワインスクールは地域によってない場所もあるかもしれませんが、有名なのはアカデミー・デュ・ヴァンさんです。東京や大阪、名古屋にスクールがあります。
オンラインショップでワインも販売していて、試験前になると試験対策用のワインも販売されたりするので、チェックしておくとよいです。
まとめ
ワインエキスパートの1次試験は勉強する範囲も広く、ワインの品種だけでなく、ワイン生産国についての勉強やワイン以外の酒類についても学びます。
そのため普段ワインを飲んでいる方でも、しっかり勉強しないと合格は難しいのではないかと思います。
ワイン受験.comによると、2018年のワインエキスパート試験の合格率は、
- 1次試験⇨44%
- 2次試験⇨67%
- 全体⇨33%
です。
それぞれの合格率はそれほど低いわけではなく、しっかり勉強すれば合格できる資格です。ただ、ストレートで合格する確率は30%ほどなので、少しハードルは高くなります。
ですが、私はワインに詳しかったわけでもなく、特にワイン好きでもないのに合格することができたので、「ワインに興味がある」程度でも1次試験の3か月前からの勉強で充分に合格できると思います。
ワインエキスパートをこれから受験される方の、勉強の参考になるようでしたら幸いです。
ワインエキスパートの勉強をとおして、ワインを知ることができ、ワインを好きになることができました。
これからはもっとたくさんのワインを飲んで、もっとワインに関する知識を深めていきたいと思っています。