「職場でパワハラやセクハラを受けて悩んでいるけれど、これって会社に相談していいのかな。もみ消されて、もっと居心地が悪くなったらどうしよう…」
今、職場の人間関係やハラスメントに心を痛め、誰にも言えずに一人で不安を抱え込んでいる方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、過去にハラスメントを経験し、最終的に会社の相談窓口へ伝える決断をした私の実体験をお話ししたいと思います。当時のリアルな状況や、お仕事をお休みする中で気づいた「自分の身を守るための具体的な準備」について、嘘偽りなくリアルにお届けします。
誰にも言えないつらさを抱えている方の心が、少しでも軽くなるようなヒントになればうれしいです。
ハラスメントの悩み、一人で抱え込んでいませんか
ニュースやSNSなどで、ハラスメントに関する告発が大きな話題になることが増えました。勇気ある発信が多くの人に届き、社会が少しずつ変わり始めているのを感じます。
ただ、それはメディアの向こう側の話だけではありません。一般の企業で働く女性にとっても、ハラスメントは決して他人事ではない身近な問題です。
私はこれまでにさまざまな職場を経験してきましたが、実は一度だけ、とても深刻なハラスメントを受けたことがあります。毎日のように心がすり減り、今振り返っても胸が締め付けられるような、本当に苦しい時期でした。
当時はたくさん悩み、涙を流しましたが、最終的に私は「会社の相談窓口へすべてを伝える」という一歩を踏み出しました。
結果として、今では「あのとき、勇気を出して伝えて本当に良かった」と心から思っています。
現在、同じような苦しみの中にいる方が、そのつらい現実からそっと抜け出すための道標になれるよう、私がどのようにその壁を乗り越えたのかを赤裸々につづってみたいと思います。
毎日のように振り回され、疲れ果てていた日々
当時、私はある大手企業で、役職者の方の秘書業務を担当していました。ハラスメントをしてきたのは、まさにその担当していた上司だったのです。社内では仕事ができる人として通っていましたが、少し強引な一面もあり、周囲との摩擦も少なくないタイプの方でした。
具体的には、このような対応が日常的に続いていました。
- 業務時間外や休日にも、個人の携帯へ私的な連絡が頻繁に届く
- 気に入らないことがあると、何日も業務上の会話を無視される
- かと思えば、突然感情を爆発させて怒鳴られる
- こちらが距離を置こうとすると、夜中に感情的な電話がかかってくる
専任の秘書という立場もあり、相手の機嫌一つでその日の仕事の進み具合がすべて左右されてしまう環境でした。周囲にすぐ助けを求められる人もおらず、毎日のように振り回されて、とにかく心が擦り切れて疲れ果てていたことを覚えています。
お休みの日にも、個人のメールにプライベートを探るような連絡が届き、返事をしないでいると、翌日のオフィスで目に見えて不機嫌になられる、という悪循環でした。
「環境を変えてもらおう」と考えたこともありましたが、その上司から「俺はこの会社を動かせる立場なんだ」「俺に逆らったら、この業界では働けなくなるぞ」といった言葉を何度も聞かされていたため、恐怖心から身動きが取れなくなってしまっていたのです。
今思えば、それは自分を大きく見せるための嘘だと分かるのですが、当時は精神的にすっかり支配されてしまっていて、「本当にどこにも居場所がなくなってしまうのではないか」と本気で怯えていました。
上場企業だったため、社内にはきちんと「ハラスメント相談窓口」が設置されていました。それでも、もし会社にもみ消されてしまったらと思うと、なかなか連絡する勇気が出ませんでした。
何より、自分がそんな目に遭っていること自体がどこか恥ずかしく、誰にも知られたくないというプライドが邪魔をしていたのかもしれません。周りの席の社員さんたちが「大丈夫?」と優しく声をかけてくれることはあっても、その場の状況を根本から止めてくれるわけではないため、孤独感は深まるばかりでした。
一歩を踏み出すきっかけとなった、ある日の出来事
そんなある日、会社の懇親会の席で、その上司の機嫌が突然悪くなりました。近くにあった椅子を激しく蹴飛ばしたかと思うと、いきなり私の髪を掴むという、決定的な事件が起きてしまったのです。
あまりの恐怖に、その場で大泣きしてしまいました。異変に気づいた周囲の人たちが上司を遠ざけてくれたおかげで、なんとかその場を離れて帰宅することができましたが、ショックのあまり帰りの駅のホームで足が震えて動けなくなるほどでした。
実はその直後、泣き崩れていた私に当時の部長が、「もし会社に訴えるなら、僕たちはちゃんと証言するよ」と声をかけてくれたのです。
おそらく、周囲の社員たちもその上司の理不尽な対応に辟易していて、会社から追い出したいというそれぞれの思惑があったのかもしれません。もしかしたら、私はそのためのきっかけとして周囲に利用されただけだったのかもしれない。
それでも、ずっと孤立無援だと思っていた私にとって、その一言は何よりも心強く、凍りついていた心を動かす大きな支えになりました。たとえ誰かの思惑があったとしても、あの言葉に背中を押してもらえたことに、今でも後悔はありません。
そして、その翌日から、会社に行くのをやめました。
と同時に、心の中に「どうして私がこんなに苦しまなければいけないんだろう」という、強い悲しみと怒りが湧き上がってきたのです。もうこのまま会社を辞めてもいい、どうなっても構わないから、最後に向き合おうという気持ちで、あんなにためらっていた「ハラスメント相談窓口」へ連絡することを決意しました。
窓口に連絡を入れた翌日には、専任の担当者の方がわざわざ東京の本社から、住む愛知県まで新幹線で駆けつけてくれました。そこで、これまでに起きたすべての事実を、ありのままお伝えしたのです。
相談したその後と、心に残ったこと
相談した結果、会社側の調査によってその上司は懲戒解雇となりました。
通常、ハラスメントの事実だけでそこまで重い処分になるケースは珍しいのですが、訴えをきっかけに詳細な調査が入ったことで、その上司が裏で行っていた就業規則違反の数々が次々と明るみに出たためでした。
どんなに仕事ができて出世している人であっても、間違った行動はいつか必ず表面化するのだと、社会の現実を深く学ぶ経験でもありました。
上司が出社しなくなってから、私は無事に職場へ復職を果たすことができ、お休みしていた期間も有給休暇を消化せずに済むよう会社が配慮してくれました。
周囲の社員さんたちからも温かい言葉をかけてもらえましたが、それでも傷ついた心が完全に元通りになるまでには、長い時間が必要でした。
ただ、もしあのとき、自分が悪いんだと自分を責め続け、何も言わずにただ逃げるように退職していたとしたら、きっと今でもずっと、心にトゲが刺さったままだったと思います。次の被害者を出さないためにも、あのとき勇気を出して会社に伝えた選択は、間違っていなかったと、今では前を向いて思えるようになりました。
万が一のとき、身を守るために準備しておきたいこと
実際に会社にハラスメントの事実を伝えるにあたって、「これをやっておいて本当によかった」と感じたポイントをまとめました。もしものときのお守りとして、心に留めておいていただけたら幸いです。
1. 起きた事実を「時系列」のメモにしておく

窓口に連絡するときは、誰でも緊張や動揺でうまく話せなくなってしまいがちです。最初の電話のときは、涙が出てうまく説明できませんでした。
そのため、本格的な聞き取り調査が行われる前に、「いつ、どこで、誰に、何をされたか」を時系列で紙にまとめたメモを用意しておきました。感情論だけで話すのではなく、客観的な事実として伝えることで、窓口の方にも状況が正確に伝わりやすくなると思ったからです。
誇張をせず、淡々と真実だけを書いたそのメモは、最終的に経営陣の方々にまでしっかりと回覧され、迅速な対応につながりました。
2. メールやチャットの履歴を「証拠」として保管しておく
相談窓口の担当者さんは、話を聞いただけで一方的に判断をすることはありません。必ず「それを証明できるものはありますか」と、客観的な証拠を求められます。
上司から届いていた私的なメールや、無視された時期の業務連絡の履歴をすべて消さずに残していたため、それをそのまま証拠として提出することができました。スマートフォンの画面のスクリーンショットや、ボイスレコーダーの音声なども非常に強い味方になってくれます。
3. 周囲の目(目撃者)や証人を味方につける
誰にも見えない場所で行われる陰湿な行為もありますが、もし周囲にその現場を目撃していた人がいるなら、これほど心強いことはありません。
懇親会で頭を掴まれた現場を多くの社員が見ていたため、窓口の方がその人たちに事実確認を行った際、証言をしてくれました。日頃から周囲と信頼関係を築いておくこと、そしておかしいなと感じる行為は、できるだけ第三者の目に触れる場所でオープンに処理する工夫も、身を守るための大切な防衛策になります。
まとめ:心と未来を大切に

職場のハラスメントに悩む女性が、少しでも自分を責めず、前を向くためのヒントになればと思い、過去の苦い経験をお話しさせていただきました。
当時は家族に心配をかけたくない一心で、限界が来るまで誰にも相談できませんでした。友人にも、どこか恥ずかしくて話せなかったのを覚えています。でも今思えば、もっと早く誰かに頼っていれば、あんなに長く一人で苦しまなくてよかったのかもしれません。
会社にすべてを伝えるのには大きなエネルギーがいりますし、会社の規模や体質によって対応のスピードに違いがあるのも現実です。
ですが、理不尽な環境で大切な心や体をすり減らし、泣き寝入りして深く傷つく必要は、絶対にありません。
確固たる事実や証拠があれば、会社も動かざるを得なくなります。もし社内の窓口が信用できない場合は、外部の労働基準監督署や、弁護士の無料相談などを頼ることもできますが、費用がかからず、一番早く社内の環境を変えられるのは、やはり会社の相談窓口を活用することです。
実は、私がこの出来事をきっかけに選んだのが、「派遣社員」という今の働き方でした。
正社員という枠に縛られ、人間関係のしがらみや重圧の中で自分をすり減らすよりも、「合わないと思ったら、自分の意志でいつでも環境を変えられる」という派遣特有のドライな距離感が、当時の私には何よりも心地よく、大きな救いになったのです。
もともと「一つの会社にとどまらず、色々な業界の裏側を見てみたい」という好奇心が強かったこともあり、フットワーク軽くさまざまな現場を飛び回れる派遣社員というスタイルは、驚くほど私に合っていました。
どんなに苦しい経験も、振り返れば必ず「自分らしい道」を選ぶための道しるべになりえるんだな、と今振り返って思います。
ハラスメントに悩み、苦しい日々を過ごしている方が、一歩を踏み出すための小さな勇気につながることを祈っています。
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